コース・ガイド


● サント・ドミンゴ坂 ●
 スタート地点となるサント・ドミンゴ坂はかなり勾配がきつく、歩くだけでも腿や腰に張りを感じるほど。「エンシエロとは」のページで説明したようにスタート地点だけでも80〜100メートルの長さにわたって設けられる。そのため、囲い場からどれぐらい離れたところから走り出すか、つまりここでどれだけ牛との距離をかせいでおくかは大きなポイントとなる。
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 ただし、出走の5分前には囲い場前に集まるランナーが、互いの無事と健闘を祈り、勇気を鼓舞する鬨(とき)の声を上げるので、一緒に大声を上げ、気分を盛り上げたかったら囲い場付近にいなければならない。そのためには7時30分の締め切りより、かなり早い時間にコースに入っておく必要がある。

 このかけ声に参加してもすぐに走り出しさえすれば、ある程度は牛との距離を離すことはできる。
● 市庁舎前〜メルカデーレス ●
 大きな二つのカーブが連続する難関。この角度のきついカーブで牛が曲がりきれずに転倒し、集団が乱れることが多い。

 牛は群れからはぐれると落ち着きを失って攻撃的になるため、このカーブで群れからはぐれた闘牛に襲われ、ケガ人や死者を出すことが多い。この辺りで牛と遭遇するのはできるだけ避けたい。

 ちなみに私は一度、囲い場の50メートルほど先から8時ちょうどに走り出しら、メルカデーレスを抜けた直後に闘牛と遭遇した。 やはり転倒する牛はいたが、起き上がる間にも走って距離をかせいだので、道幅の広いエスタフェタでやり過ごすことができた。牛よりも先に駆け抜けてさえいれば、距離を離しておけるポイントでもある。
● エスタフェタ〜電話局前 ●
 400メートル近い直線で、ゆるやかな上り坂。ランナーにとっても走りやすいコースだが、牛のスピードも上がる。

 道幅が広いので多くのランナーが脇にそれて牛をやり過ごす。ただし前のカーブで転倒し、集団からはぐれた危険な牛がそのまま一頭で走ってくる可能性も高いので、後方には十分注意して走りたい。

 ここ以外のポイントでもそうだが、牛追いでは12頭の牛が一つの集団で走ってくることはまずない。3〜5頭の一団をやり過ごしても、次の集団がどのあたりまで来ているのか、道脇にそれた場合でも、再び走り出す前にはその距離を確認しておきたい。

● 闘牛場内へ ●
 過去のエンシエロにおいて最も多くの死者を出しているポイント。ここまでのコースは十分に道幅があり、脇にそれるなどして牛をやり過ごせたが、闘牛場内に入るゲートでその道幅が一気に狭くなる。そのため、ランナーが殺到して混み合ったところに、牛が突っ込むという最悪の状況をまねく可能性がある。また牛と接触しなくても、混雑したランナーが将棋倒しを起こす危険性も高い。
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 ゲートを無事に通り過ぎても、まだ安心はできない。急に闘牛場の広い空間に入った牛が方向感覚を失い、目についたランナーに襲いかかることもあるのだ。場内に設置された囲い場に闘牛たちが入るまでは、バレラと呼ばれる退避塀の内側で待機したい。

  ( ゴールとなるパンプロナの闘牛場→ )
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 ここまで無事に完走できたら、あとは素人闘牛を楽しむのみ。参加するもよし、バレラからその模様を眺めるもよし。

(素人闘牛についてはここをクリック)


● ビュー ・ ポイント ●
 エンシエロの開始は朝の8時だが、見物するとなればその2〜4時間前から場所取りを しておかないと、間近で見ることは難しいだろう。
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 すぐ近くから牛追いを見なくても良いということであれば、ゴールの闘牛場が一般開放されるので、 そこでノンビリと待つのがベストだろう。エンシエロ終了後に行われる素人闘牛もそのまま楽しむ ことができるので、一石二鳥といったところ。もっとも、少しでもアレーナ(闘技場)に近い席 で見たいのであれば、2〜3時間前には闘牛場に行く必要があるだろう。
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 すぐ目の前を駆け抜ける、迫力満点の一大スペクタクルを堪能したければ、 コース沿いに設けられた柵の前で3〜4時間がんばるしかない。

 ビューポイントとしてお勧めなのは市庁舎前広場と、電話局前〜闘牛場の2ヶ所。 この2ヶ所は空間も広くて見やすいのだが、エキサイティングなハプニング が起りやすい場所でもあるので、かなりの見物人が殺到する。もし良い場所が取れたとしても、 牛追いの始まり前後には、たえまなく後方から押し付けられる圧迫感に耐えなければならない。

 そう考えると、参加する者にとっても、見る者にとっても体力勝負の行事がエンシエロなのだと いう気がする。

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